METAL GEAR SOLID 10


補足】青色文字は通信中の台詞です
     【】内は情景等の補足説明です
     黄色文字は洗脳中の台詞です

01 ナレーション リキッドとの格闘戦を制したスネークは、横たわるメリルを抱き上げ声を掛けた。
スネーク メリル!メリル!?
メリル ん・・・スネーク・・・?あなたなの?スネーク!!生きてたのね!よかった・・・。
ナレーション メリルはスネークの首に自らの両手を絡め抱きついた。
スネーク メリル?メリル、大丈夫か?
メリル 大丈夫か、しか言えないの・・・?
スネーク メリル、つらい思いをさせた。
メリル いいえ、つらくはなかったわ。奴等の拷問に私、屈しなかった。
スネーク 拷問?
10 メリル それ以上のひどいことも・・・。私も闘ってたの、あなたと同じように。
スネーク 強くなったな。
メリル 闘うことで、あなたに近づけた感じがする。あなたの存在を身近に感じたわ。だから耐えられた。
けど・・・怖かった・・・。
スネーク すまん。
メリル あやまらないで。でもおかげで気付くことができたわ。恐怖と恥辱の中、ひとつだけ確かな気持ちがあったの。それにすがる事ができたから耐えられた。あの間、願った事はひとつだけ・・・スネーク、あなたに・・・逢いたかった。
スネーク メリル・・・。
ナレーション 見詰め合う二人の時間を無線機のコールが妨げた。
メリル あ・・・。
スネーク 無線だ。
オタコン スネーク、僕だよ。
20 スネーク オタコン、いいニュースだ。メリルは無事だ。
オタコン よかった!!そうか、無事だったんだ。やったじゃないか?
スネーク 悪いニュースもある。もうすぐ空爆が始まる。
オタコン そうか、やっぱり僕たちは見捨てられたんだ。
スネーク ここから脱出できるか?
オタコン 脱出?・・・ああ、できるよ。そこから地上への搬出用道路がある。スネーク達がいる、その隣りに駐車場があるんだ。そこから地上へ繋がっている。
スネーク 正面の扉か?
オタコン いや、正面扉の西に小さな出入り口がある。
スネーク セキュリティは大丈夫なのか?
オタコン たった今、解除したところさ。僕を誰だと思ってるんだい?脱出路の方もこれからかかる・・・。
30 スネーク お前はどうする?
オタコン 僕?僕は・・・ここに残る。脱出路を確保するには、もう少し時間が必要なんだ。
スネーク しかし・・・。
オタコン 脱出路の解除はかなり厄介なんだ!僕にしかできない。
スネーク オタコン?
オタコン 心配はいらないよ、僕はここに残る。自分の意志で決めた事だ。
スネーク 地下基地といえども地表を貫通する核爆弾だ。容赦ないぞ。
オタコン もう、過去を悔いる生き方はやめたんだ。人生は失うばかりじゃない・・・。
スネーク、僕は以前より充実してる。生きる目的ができたんだ。
スネーク わかった。死ぬなよ。
オタコン それはお互い様。メリルと仲良くな。
40 スネーク ああ・・・。
オタコン じゃあ、切るよ。必ず脱出路を何とかするから。
スネーク ありがとう。
オタコン ありがとう、か・・・。いいもんだな・・・。
スネーク ・・・信じてるぞ。
オタコン ああ。ありがとう、スネーク。
スネーク さあ、脱出するぞ。
メリル 彼は?オタコンはどこに?
スネーク 奴は・・・今 闘っている。今までの自分と、これからの自分の為に・・・。
メリル そして、私達の為に?
50 スネーク そうだ。奴の勇気を無駄にはしない。
メリル わかったわ。
スネーク さあ、急ごう!
ナレーション スネーク達はジープを奪取し搬送用道路を一路地上へと向け走らせた。メリル運転の元、スネークの放つ機銃で検問を打ち破った時、後ろからリキッドの乗るジープが機銃を連射しながら迫ってきた。
スネーク リキッド!!
ナレーション 2台のジープは平行に並び車体をぶつけながら機銃を乱射しあう。
メリル 見てスネーク!出口よ!
ナレーション リキッドはさらに加速し自らのジープをスネーク達の前に晒して出口を塞いだ。
メリル だめ!避けられない!
ナレーション 2台のジープは出口間際で激突した。黒煙をあげた2台のジープが地上に横転している。
スネーク メリル、大丈夫か?
60 メリル ええ・・・まだ生きてるわ。
スネーク 動けるか?メリル?
メリル チッ、動けないわ。車体に足が挟まってる。
スネーク 俺も同じだ・・・リキッドはどうなった?
メリル 私からも見えないわ。
スネーク リキッドが死んだ・・・?
!しまった!
ナレーション リキッドが横転したジープから姿を現し、スネーク達に向かってゆっくりと歩いてくる。手にはFA-MASライフルが握られている。リキッドがライフルをスネークに向けた時、リキッドは突如苦しみ始め、地面に力なく倒れると、「フォックスダイ」と呻くように呟き、息を引き取った。
スネーク 奴が死んだという事は・・・。
メリル 言わないで、スネーク。
スネーク 空爆はどうなったんだ。ステルスの影も見えない。
70 キャンベル スネーク!聞こえるか?
スネーク 大佐!
キャンベル 無事だったか?
スネーク 大佐、どうして?
キャンベル 国防省長官はたった今、逮捕された。退任だ。
スネーク 逮捕?
キャンベル 大統領と連絡がとれた。メタルギア、新型核弾頭の開発、今回の演習・・・全て、国防省長官の独断で行われた。
スネーク これが独断・・・。
空爆や核の投下はどうなった?
キャンベル 攻撃命令は解除。F117もB2スピリットも基地に帰還した。再び作戦指令の権限は私に戻った。
スネーク なるほど・・・。
80 キャンベル 政府(ワシントン)は秘密を守る為に核を使用する程、愚かではない。
スネーク 怪しいものだ。
キャンベル とにかく、危機は去った・・・。ありがとう。
スネーク 大佐。メリルは無事だ。安心してくれ・・・。
キャンベル そうか・・・。ありがとう、スネーク。ありがとう。
スネーク、君にはいろいろ隠し事をして、すまなかった。
スネーク 大佐、いいんだ。
キャンベル スネーク、私は大佐ではない。
スネーク そうだったな。
キャンベル 君にプレゼントがある。近くにスノーモービルがある。先ほど衛星写真で確認した、この時期、氷河も落ち着いている。凍結した海を渡ればいい。国防省情報局や国家安全保障局の連中が君達を無事に帰すとは思えない。
スネーク 同感だ。勿論、のこのこ戻る気はない。
90 キャンベル 君達はジープでアラスカの海中に沈んだ・・・。ということにしてある。
スネーク あやうく現実になりそうだったが・・・。
キャンベル フォックス諸島でヘリを用意している。
スネーク 基地内にオタコン・・・いや、ハル・エメリッヒ博士がいるはずだ。彼の回収も頼む。
キャンベル わかった。そっちの方は安心しろ。
スネーク ありがとう、キャンベル・・・。そっちは大丈夫なのか?
キャンベル お互い保険は用意している。データをハードコピーしている。これがある限り、君も私も大丈夫だ。
スネーク ナノマシンのバッテリーも尽きる、俺達を追跡する事はできまい。
キャンベル もう逢うこともないな。
スネーク いや、そのうち遊びに行く。
100 キャンベル そうか、期待してるよ。
スネーク キャンベル、一つ教えてくれ。
キャンベル なんだ?
スネーク フォックスダイの事だ。
キャンベル メリルなら大丈夫だ。プログラムの対象には入っていなかったようだ。
スネーク 俺はどうなる?リキッドも死んだ。
キャンベル その事についてなんだが、ナオミから話しがあるらしい。
スネーク 彼女は今?
キャンベル 大丈夫だ。今、ナオミと代わる。
ナオミ スネーク、私よ・・・。
110 スネーク ナオミか?
ナオミ 聞いたわ・・・。兄のこと。
スネーク ああ、その・・・フォッ、いや、フランクから伝言がある。
ナオミ え?
スネーク 「俺の事は忘れて、自分の人生を精一杯生きろ・・・」
ナオミ 兄が・・・そんな事を?
スネーク 君の事を愛している。とも言っていた。
ナオミ、俺や世界を救ったのは・・・フランクだ。奴は最後まで自分の意志で闘っていた。
ナオミ 兄は・・・これで解放されたと思う。兄は、既に死んでいたの。ザンジバーランドであなたと闘ってから。既にゴーストと変わりがなかった。死に場所を求めて、さまよう亡霊・・・。
スネーク ナオミ、リキッドもフォックスダイで死んだ。設定はいつだ。いつウイルスが活動する?
ナオミ それはあなた次第。
スネーク どういう意味だ?
ナオミ あらゆる生命には寿命がある。
120 スネーク いつまでもつんだ?
ナオミ 限られた時間を使うのはあなたよ。生きてね、スネーク。私からはそれだけ・・・。
人はそれぞれ、生まれた時から運命づけられているわ。遺伝子の中に刻まれてね。でも・・・人の人生はそれだけじゃない。私もようやくわかった。前にも言ったわね、私が遺伝子、DNAに関心を持った理由、自分は一体誰なのか?どこから来たのは知りたかったから・・・。DNAを解析すれば、私が誰だかわかる、私の逢った事のない、両親の事がわかる・・・自分が何者かわかれば、進む道がわかるかもしれない。そう思ってた。でもそれは違う、何もわからなかった、何も見つからなかった。ゲノム兵も同じ。遺伝情報をインプットするだけでは最強の戦士を創り出す事はできない。DNA情報は、あくまでも力や運命を秘めているという事だけしか言えないわ。運命に縛られてはいけない。遺伝子に支配されてはいけない。生き方を選ぶのは私達なのよ。
スネーク・・・プログラムされたかどうかは問題ではないわ。重要なのは、あなたが選ぶ事。そして、生きる事。そうでしょ?スネーク・・・。
心配はいらない、私も 生きていくわ。これまで 生きる理由ばかり探してた。でも これからは・・・。生きる事が私の目標なの。
遺伝子の存在意義は・・・子孫を通じて 願いを未来に託す事。生きる事は未来へ繋がる。あらゆる生命は、そうやって未来へ繋がっていくの。愛し合い、語り継いでいく・・・。そして、世界を変えていく。
ようやくわかったの、生きる事の意味が。スネーク・・・ありがとう。
ナレーション スネーク達はキャンベルの用意したスノーモービルに跨った。メリルは座席のボックスからハチマキを見つけ手に取った。
メリル こんなものがあったけど?
スネーク とっておこう、記念にな。
メリル 何の記念?任務成功の?それとも、私達の出会い?
スネーク 新しい生き方を知った事のだ。
メリル ん?
スネーク 俺は今まで自分の為だけに生きてきた。死にたくはないっていう生存本能が俺の人生の動機だった。
メリル みんなそうよ、あなただけじゃないわ。
スネーク 死への恐怖の中でしか、生きる意味を見出せなかった。いや、俺の遺伝子にそう記されていたのかもしれない。
130 メリル 今はどうなの?あなたの未来は?どう書かれているの?
スネーク 人の為に生きるのもいいかもしれない。
メリル 人の為に、生きる?
スネーク そうだ。・・・君の為に生きる。それが本当の生きる事かもしれない。
メリル 【微笑み】
さあて スネーク、どこへ?
スネーク ディビッドだ、俺の名前は。
メリル デイブ、どこへ行きましょう?
スネーク そうだな、俺達の、新しい道を見つけよう。
メリル 新しい道?
スネーク 新しい目的。
メリル 見つかる?
140 スネーク 見つかるとも。・・・見つけるとも。
ナレーション メリルは地平線を横切る動物を見つけ指差した。
メリル あれは?
スネーク カリブーだ。ここではカリブーは生のシンボルなんだ。ここももうすぐ春だ。
メリル 【囁くように】
私達も・・・。
スネーク そうだ・・・。生きる物全てに 春は来る。希望を持つことだ。ここに住んで長いが、アラスカがこんなに美しく見えた事はない。空も・・・海も・・・カリブーも・・・そして、君も。
メリル 素敵ね・・・生きるって。
スネーク さあ!人生を楽しもう!
ナレーション スネークはのエンジンを掛けると、メリルと共に氷河の道を地平線を目指しスノーモービルを走らせた。地平線に、朝日が輝いていた。

1980年代、世界には常時六万発以上の核兵器が存在した。その破壊力はヒロシマ型原爆の100万発分に相当する。
1993年1月にSTART2が結ばれアメリカ・ロシアは西暦2000年12月31日までに戦略核弾頭の配備数をそれぞれ3000〜3500発に削減する事に同意した。
しかし1998年現在、世界にはなお二万六千発の核兵器が存在している。
ナオミ
(モノローグ)
運命に縛られてはいけない。遺伝子に支配されてはいけない。生き方を選ぶのは私達なのよ。重要なのは、あなたが選ぶ事、そして・・・生きる事。
150 オセロット
(通信中)
はい、全員死亡しました。
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あの二人は生存しています。
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運び屋の方はもうすぐフォックスダイが。
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はい・・・そうです。
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はい。模擬核弾頭演習のデータは私が回収しました。
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ええ。誰も私の正体に気づいてはおりません。
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はい。正体を知るダーパ局長は始末しました。
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はい。
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結局は劣性が勝った事になります。
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そうです。リキッドは最後まで自分が劣勢だと思いこんでいたようです。
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ええ、そうですね。世界を引き継ぐ者は劣性でも優性でもありません。
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ええ。あなたが3人目。ソリダスである事もつかんでいません。あの女はどうします?
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はい、監視を続けます。
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はい!ありがとうございます・・・大統領。