METAL GEAR SOLID 08


【補足】青色文字は通信中の台詞です
     【】内は情景等の補足説明です
     黄色文字は洗脳中の台詞です

01 ナレーション スネークは装備品を取り戻し、拷問部屋から脱出した。通信棟を抜けた頃、またも謎の男から通信が入った。
サイボーグ忍者 スネーク、装備品に爆弾が仕掛けられている。光ディスクは偽物だ、早く捨てるんだ。
スネーク お前は誰だ!奴等の一味か?
サイボーグ忍者 いずれわかる・・・。
ナレーション スネークは謎の男のの言葉のまま、光ディスクを投げ捨てた。程なくして光ディスクは爆発し塵となった。
スネークはメリルが狙撃を受けた場所に辿り着き、地面にいまだ残る血痕を見て思わず立ち止まった。
意を察してか、キャンベルからの通信が入った。
キャンベル スネーク、メリルのことだが・・・。
スネーク 大佐、俺は・・・。
キャンベル ・・・聞いてくれ。
スネーク 俺はメリルを守ることができなかった・・・。
10 キャンベル スネーク、あの子も軍人だ。捕虜になる事態もありうるとわかっているさ。自分の意志で任務についたんだ。覚悟はできていたはずだ。
スネーク いや、そうじゃない・・・。メリルは自分が軍人にならなければいけない。そう思い込んでいただけだ。
亡くなった父親に近づくために。
キャンベル あの子がそんな事を?
スネーク 彼女はまだ戦場に立つべきではなかった。戦場で傷つく覚悟もできていなかったはずだ。俺がもう少し・・・。
マスター らしくないな、スネーク。
スネーク マスター!?
キャンベル マスターがどうして?
マスター 盗み聞きしているようで悪いんだが、我慢できなくなってな。通信に割り込ませてもらった。
スネーク マスター、今は教官を引退してアラスカに移住したはずでは?
マスター ああそうだ、今は隠居の身でな、アラスカの自宅から通信している。元教官として色々と助言させて貰うぞ。
スネーク、反省はいい。後悔するのも勝手だ。だが過去の過ちをだた否定的に捉えて自分を責めるのはやめた方がいい。それは何も生み出しはしない。
20 スネーク マスター・・・。
キャンベル スネーク、リキッド達を止めてくれ。・・・メリルもそれを望むはずだ。
スネーク そうだな。・・・メリルならそう言うだろうな。
ナオミ ・・・スネーク?
スネーク 何だ?
ナオミ メリルさんって、あなたにとって、やっぱり特別な人なのね。
スネーク 特別といえば特別だ。あれ程の跳ねっ返り、そうはいない。
ナオミ ・・・そういうことじゃなくて。
スネーク 大佐の姪で・・・今は戦友だ。
ナオミ それだけ?嘘。
30 スネーク ・・・警察の尋問みたいだな。
ナオミ そんなこと・・・。
キャンベル 家系かもしれんな・・・。
スネーク 家系って?突然なんだ、大佐?
キャンベル いやな、ナオミのお祖父さんの話しを思い出したんだよ。
聞けば、ナオミのお祖父さんはエドガー・フーバー時代にFBI長官補佐まで勤め上げたらしいじゃないか。
スネーク そうなのか?
ナオミ え、ええ。日本人で、マフィアの囮特別捜査官もやってたらしいわ。
マスター いつの時代だ?
ナオミ ・・・1950年代だったかしら?
マスター どこで?
40 ナオミ ・・・ニューヨークだったと思う。
スネーク ナオミ、家族はいないんじゃなかったのか?
ナオミ ・・・大人になってから調べたのよ。お祖父さんのこと、知った時にはもう亡くなっていたわ。実際には会ったこともないの・・・。
キャンベル そうか・・・。
ナオミ ・・・スネーク、負けないでね。
キャンベル 頼んだぞ。
ナレーション スネークは数々の危機を潜り抜け、メタルギア地下整備基地のある雪原へと出た時、マスターから通信が入った。
マスター いいか、スネーク。ナオミ・ハンターという女の事だが?
スネーク ナオミがどうかしたか?
マスター 私はFBIに身を置いていたこともある。
50 スネーク それは知らなかった。それで?
マスター ドクター・ハンターの身の上話だが・・・。彼女の祖父がFBI長官の補佐官であったという・・・。
スネーク ああ。
マスター それにニューヨークでマフィアの囮捜査をしていたという話・・・。
スネーク それがどうかしたのか?
マスター すべてデタラメだ。
スネーク なんだって!?
マスター ずっと引っかかっていたんだ。どうしてそんな嘘をつくのか?
スネーク 嘘?
マスター 彼女はスパイかもしれん。
60 スネーク 馬鹿な。
マスター いいか、こんな嘘は高校生でも見抜ける。
当時のFBI長官、エドガー・フーバーは人種差別主義者で有名だった。
ナオミの祖父は日本人だと言っていたな?
スネーク ああ。
マスター その頃、東洋人の捜査官は一人もいなかったはずだ。
さらに、50年代にはまだマフィアの囮捜査は行われていなかった。初めての潜入捜査は60年、しかもシカゴからだ。
スネーク しかし・・・。
マスター 局長や社長の死、例の忍者・・・。腑に落ちないことが多すぎないか?
スネーク ・・・ナオミがそれを仕組んだとでも?
マスター わからん。あるいはテロリストと繋がっているかも知れん。
スネーク ・・・そんな事が?
マスター この情報は先ほどキャンベルに伝えた。おそらく現在、尋問が始まっていることだろう。
結果はすぐにわかる。スネーク、お前は自分の任務に集中するんだ!
70 ナレーション 風雪吹きすさぶ雪原を一路メタルギア地下整備基地の入り口に向けて進むスネークの頬を銃弾が掠めた。吹き山に身を隠したスネークは、オタコンに通信を送った。
オタコン どうしたんだいスネーク?
スネーク オタコン、ステルス迷彩は、お前が持ってる他にもあるのか?
オタコン いや、忍者が装備している他は僕のだけだよ。
スネーク 忍者は銃を使わないはずだ・・・吹雪の中で狙撃を受けた。近辺に敵はいない。
オタコン !ウルフだよスネーク、彼女なら吹雪でも狙撃ができるはずさ。
スネーク 奴か・・・。
オタコン スネーク!お願いだ!彼女を傷つけないで!彼女は優しい人なんだ!
スネーク ここは戦場だ!
ナレーション スネークは雪原に伏せるとスナイパー・ライフルを構えた。風雪の音と銃撃の音が交差する。極寒と集中力の途絶えが照準を狂わせていく中、ウルフの弾道は精度を増し、スネークに迫る。
死闘の果て、スネークが死をも覚悟した瞬間、心の中にメリルの顔が浮かんだ。かじかんだ指に温かさが伝わり、スネークは引き金をひいた。銃弾はウルフの体に命中し、闘いは終わりを告げた。
スネークは雪原を自らの血で染め横たわるウルフの横に立った。
80 ウルフ 私はスナイパーだ・・・待つのが任務。微動だにせず、ただひたすら・・・
【吐血】
肺をやられた、もう助からない・・・お前ならわかるな?・・・楽にしてくれないか・・・?
私はクルドだ。ずっと落ちつける所を探してきた。
スネーク 狼(クルド)?・・・それでウルフか。
ウルフ 私は戦場で生まれた、育ったのも戦場だ。銃声や怒号、悲鳴が私の子守歌だった。来る日も来る日も狩りたてられ憑かれたように戦う。それが私の日課だった・・・。朝目覚めると仲間や家族の死体が累々と横たわっていた。私達は朝日を見ながら・・・今日の命を祈った。政治や歴史は、単に私達をなぶるだけの存在でしかなかった。
【呼吸が苦しくなる】
・・・そんな時、あの人が現れた。あの人・・・英雄サラでディンが助けてくれた。
スネーク サラディン?ビッグボスの事か・・・。
ウルフ 私はスナイパーになった。身を隠し、スコープから世界を傍観する立場になった。戦場を内からではなく、外から客観的に観る立場に。私はそうやって戦場の外から殺戮を・・・人の愚かな歴史を見てきた。私は世の中に復讐する為に、この部隊、この蹶起(けっき)に参加した。しかし私は狼(ウルフ)としての誇りを失ってしまった。復讐の念が身も心も私を変えてしまった。今の私は犬同然。
スネーク 狼(おおかみ)は高潔な生き物だ、犬とは違う。ユーピック語では狼の事をケグルネクと言い、高貴な生き物として崇めている。俺達のような傭兵は「戦争の犬」と呼ばれている。確かに俺達は消耗品だ。しかし、お前は違う、狼だ、犬ではない。
ウルフ お前は誰なの?もしかしてサラディン?
スネーク お前は・・・メリルを助けてくれた。
ウルフ たとえ傍観者でも女や子供が血を流すのは観たくない。
スネーク 安心しろ、ウルフらしく、気高く死ねる。
90 ウルフ ・・・今わかった。誰かを殺す為に潜伏していたんじゃない、殺されるのを待っていたんだ。お前のような男に・・・、お前は英雄だ、私を解放してくれる・・・。
ナレーション 一部始終を傍観していたオタコンが、ステルス迷彩を停止させ、姿を現した。
オタコン どうしてなんだ・・・愛してた・・・。
ナレーション ウルフはオタコンを一瞥すると、雪上のライフルに手を伸ばした。
スネーク どうした?
ウルフ 銃を・・・私の銃を近くに・・・銃な体の一部なの・・・。
ナレーション オタコンが雪上から銃を拾い上げウルフに手渡した。ウルフは銃を赤子を抱くかのように抱きしめる。同じくして狼たちの悲しげな遠吠えが雪原に響く。
ウルフ みんな・・・いるわね・・・。
さあ英雄・・・私を解放して・・・!
ナレーション オタコンはウルフに背を向けると、頭を抱え、うずくまりながら押し殺したような声で言った。
オタコン さよなら・・・。
100 ナレーション スネークは銃を構え、ウルフの頭部を撃ち抜いた。雪原に響く銃声と、狼の遠吠えが こだましている。
オタコン ・・・スネーク・・・戦場でも愛は享受できるって言ったよね?僕は何もできなかった・・・。
!それは、僕が君にあげた、ウルフのハンカチ・・・。
ナレーション スネークはオタコンがスネークに渡したウルフのハンカチを、ウルフの顔に被せた。
スネーク 持ち主に帰す、俺にハンカチは必要無い。
オタコン どうして?
スネーク 涙は既に涸れている。
オタコン 【咽び泣く】
スネーク 地下整備基地に潜入する、時間が無い。
オタコン 【涙を堪えながら】
わかってる。
スネーク 自分の身は自分で守れ、誰も信用するな。
110 オタコン ああ・・・。
スネーク メタルギアの破壊に失敗すれば、恐らくここは空爆を受けるはずだ。
オタコン ・・・そうだね。
スネーク もう逢う事も無いかもしれん。
オタコン 無線機は手放さないよ、ずっと追跡してる。
スネーク いつでも逃げていい、残りの人生、好きなように生きろ。
ナレーション スネークはオタコンに背を向け歩き出す。オタコンは暫しウルフの亡骸を見つめ、去って行くスネークに向き直り叫んだ。
オタコン スネーク!彼女は何の為に闘ってたのかな!?僕は何の為に!?スネークは何の為に!?
スネーク 生きて逢えたら答えを教えてやる!
オタコン わかった、その時までに・・・僕も答えを探しておくよ!
120 ナレーション 地下整備基地に潜入したスネークは高熱の蒸気噴出す溶鉱炉を抜けリフトで地下2階へと辿り着いた。その行程で無数のカラスがスネークの周囲をまるで観察するかのように飛び回っていた。最深部のドアが開いた先には、上階とは真逆の世界が広がっていた。極寒の世界、階自体が巨大な保冷庫の様を表していた。スニーキングスーツを通しても身を切る寒さが届いていた。その時、コンテナの上の塊が動いた。いや、それは背中に身の幅を悠に越える巨大なマガジンを背負った、巨漢のシャーマン バルカン・レイブンであった。レイブンは身の丈を越える銃身のバルカン砲を軽々と携え、スネークを見下ろしている。
レイブン ようこそ白人(カサック)!!ここから先は通さん!なあ みんな!?
ナレーション レイブンの声に呼応しカラス達が一斉に鳴き始めた。
レイブン あいつらも興奮している。大鳥(レイブン)は決して残飯処理ではない。不用なものを自然界に返すだけだ。そして、時に怪我をした狐を襲う事もある。
スネーク M1戦車に乗っていた男か?その巨体でよく我慢できたな?
レイブン ハッハッハハハハ・・・あれは戦いとは呼ばない。はあっ!
ナレーション レイブンは自らの重装備を気にすることも無く、コンテナからスネークの居る地面に飛び降りた。
レイブン お前がいかなるものかカラスと傍観していたのだ。結論は出た。カラス達はお前を戦士として選んだ。
ナレーション レイブンの頭に刻まれたカラスの刺青が実際のカラスとなってスネークに向かって飛んでくる。
スネーク !幻覚!?
130 ナレーション カラスがスネークの肩に止まった。
スネーク 動けない・・・!
レイブン 今 お前は死の宣告と受けた。お前、東洋人の血が流れているな・・・なるほど、お前も俺達と同じモンゴル系か。アラスカ・インディアンは日本人に近い、祖先が同じだとも言われている。
スネーク カラスに親戚はいない。
レイブン いいだろう、蛇は好かんが、同属なら相手に不足はない、手加減はしない。
ナレーション レイブンが首を動かすと、肩に止まっていたカラスが飛び退り、スネークの体が動くようになった。
レイブン お前もアラスカに住む人間だ、世界エスキモー・インディアンオリンピックを知っているな?お前もアラスカに住む人間だ、世界エスキモー・インディアンオリンピックを知っているな?
スネーク その怪力・・・「棒引き」や「四人運び」で鍛えたのか?
レイブン そうだが、俺の強さは力だけではない、オリンピックに「耳引き」という競技がある。紐で互いの耳を引っぱり合い、酷寒の厳しさに耐える力を養う競技だ。強さは精神面から来る・・・。
スネーク それを今から?
140 レイブン 形は変わるが主旨は同じだ。喜べ、お前は俺に認められている。
スネーク これは競技ではない、ただの殺し合いだ。暴力はスポーツではない!
レイブン さあ お前が何者か、じっくりと見せてもらおう!!
ナレーション レイブンは網の目状の道をバルカンを携え縦横無尽にスネークを追う。スネークはコンテナに身を隠しながら銃を構えるが、バルカンの掃射に発砲すら出来ない。
スネークは作戦を変え、コンテナにC4爆弾をセットすると、レイブンを近くまで誘導し爆破した。手傷を負ったレイブンは錯乱状態となり、コンテナを破壊しながらスネークを袋小路に追い詰めていく。
スネークは全てのC4爆弾を一か所にセットし、迫りくるレイブンの股ぐらをスライディングで滑り抜けると背後に回り盾とすると。爆弾を爆破した。
レイブンは自らの血で周囲を染め、横たわっている。
レイブン 不要な存在は・・・俺の方だったらしい。
ナレーション 一羽のカラスが血に全身を染めたレイブンの肩に止まった。
レイブン だが・・・俺の残骸は残らない、俺の魂も肉も、こいつらに同化する、俺の骸は自然に還る。スネーク!俺はお前を見ているぞ!
いいか・・・スネーク、セキュリティ・カードだ、これでそこの扉が開く。
スネーク どうして?
レイブン お前は自然が創りだした蛇ではない。お前もボスも、違う世界から来た・・・俺達の知る世界ではない。
決着をつけて来い、俺は最後を見ている・・・。
お前にひとつヒントをやろう。お前の目前で死んだ男・・・あれは・・・ダーバ局長でない、あいつはデコイ・オクトパス、俺達と同じフォックスハウンドだ。奴は変装の名人だった・・・オクトパスは血液まで偽装する。その為にダーパ局長の血を全て抜き取って入れ替えた。しかし、死神までは騙せなかったわけだ。
スネーク 死神?
そんな手間を掛けてまで・・・なぜ局長のふりを?
150 レイブン フフフフ・・・ヒントはここまでだ。この先は 自力で解明するんだな。
ナレーション 周囲に集まっていたカラス達が一斉にレイブンを取り囲み啄ばむ。スネークはレイブンの最後の儀式に背を向け歩き出す。
レイブン 蛇よ、自然界には限度を越えた殺戮は存在しない。必ず終わりがある。だが お前は違う。
スネーク 俺には終わりがないというのか・・・。
レイブン お前の進む先に 終着駅は無い。どこまで行っても、いくつ屍を乗り越えようと・・・終わりのない殺戮だ、救いのない未来・・・いいか・・・蛇よ!俺は・・・見ている!!
ナレーション スネークは背中越しにカラスたちが飛び去る羽音を聞き振り返る。そこには巨大ばバルカンとマガジンだけが残されていた。
そしてついにスネークはメタルギア地下整備基地へと辿りついた。