METAL GEAR SOLID 06


補足】青色文字は通信中の台詞です
     【】内は情景等の補足説明です
     黄色文字は洗脳中の台詞です

01 ナレーション スネーク達はメタルギアの地下整備基地への道があると言う所長室へと急いだ。所長室の扉を開けようとした時、突然メリルが悲鳴をあげた。
メリル 頭が!・・・痛い!!
スネーク どうした!?
メリル 来ないでスネーク!あああっ!
スネーク 大丈夫か!?どうした!?
メリル ・・・大丈夫。さあ・・・行くわよ。どうぞ、フォックスハウンドの旦那、所長がお待ちよ。
ナレーション メリルが扉を開け、スネークが所長室に入っていく。そこには豪華な家具や装飾品が所狭しと置かれていた。
メリル ああっ!・・・。
ナレーション メリルは銃をホルスターから抜くと、銃口をスネークに向け構えた。
10 メリル スネーク・・・私の事 好き?
ナレーション 一瞬、メリルの背後に、ガスマスクを被った細身の男が浮かんで見えた。
スネーク これは!?
メリル ねえ、好き?
ナレーション メリルが銃口をスネークに向けながら近付いてくる。また一瞬だけガスマスクの男が見えた。
スネーク おまえは!?
ナレーション スネークは意を決しメリルを押さえ込み気絶させた。
マンティス 役に立たん女だ。
スネーク ふん、ステルス迷彩か。手品のタネはいつも幼稚なものだ。
マンティス 貴様・・・俺の力を信じてないな。世界最高のリーディング能力とサイコキネシス。今からお前に見せてやる。いや、声に出す必要はない スネーク。俺はサイコ・マンティス。
20 ナレーション サイコ・マンティスが空間に出現した。その体は空間に静止している。
マンティス そうだ、これにはタネがない。正真正銘の力だ。
ナレーション スネークが銃を構えた。
マンティス 無駄だ、言ったろう。貴様の心は全て読める。貴様の記憶は空っぽ。貴様の心は手に取るようにわかる。俺のサイコキネシスを見せてやろう!
ナレーション マンティスは甲高い笑い声を上げながらステルス迷彩を作動させ姿を消すと、サイコキネシスで所長室の家具を宙に浮かせ、投げつけた。スネークは家具をかわしながらサーマル・ゴーグルを装着した。
マンティス フフフフ・・・サーマル・ゴーグルか、ステルス迷彩は光の屈曲で姿を消す、そのゴーグルの前では意味を持たないな・・・だが無駄だ・・・。
ナレーション スネークの放った銃弾がマンティスの傍らをすり抜けていく。
マンティス フフフフフ・・・言ったはずだ。俺のリーディング能力は世界最高だと!お前の考えていることは全て読める!
確かに貴様は大した奴だ。しかし貴様の弱点はわかってる。
ナレーション マンティスは気絶しているメリルをサイコキネシスで無理やり立ち上がらせた。
マンティス さあメリル、この男の前で、自分の頭をぶち抜くんだ!!
30 スネーク やめろ!メリル!!
ナレーション スネークは咄嗟にメリルの体を蹴り飛ばした。スネークの表情が変わった。
マンティス そ・・・そんな馬鹿な!何故だ!・・・お前の心が読めない!!
ナレーション マンティスは部屋中の家具を浮かび上がらせスネーク目掛け投げつけた。スネークは飛びよけながら発砲する。銃弾はサイコ・マンティスの体を撃ち抜いた。
スネーク 大佐、あんたの姪は何とか無事だ。
キャンベル すまない、世話をかけた。
スネーク マンティスが倒れたなら、メリルの洗脳も解けるはずだな、ナオミ?
ナオミ ええ・・・。でも、なぜそこまでして彼女を助けようとしたの?キャンベルさんのため?・・・それとも・・・。彼女が好きなの?
スネーク ・・・目の前で女が死ぬのは見たくない。
ナオミ あなたは人の死なんて気にもとめないんじゃ?
キャンベル ナオミ、確かに彼は多くの人間を殺してきた。だが殺人鬼ではないよ。
40 スネーク 人殺しには違いないさ。
ナレーション 床に倒れているマンティスが口を開いた。
マンティス そうか・・・もう一つの・・・俺には・・・予知能力は無かった。
スネーク 予知能力なんかいらない。未来を変えていく勇気があれば充分だ。
マンティス フッ・・・そうか。その未来とやらを教えてやろう。メタルギアの地下整備基地へ行くには、そこの隠し扉を抜けるしかない。本棚の裏に隠し扉がある。そこを抜けて行け。
スネーク ・・・どうして俺に?
マンティス 俺は人の心が読める。今まで何千人もの心と過去、未来へ繋がる現在を覗いてきた・・・グフッ。
ナレーション 吐血し、ガスマスクが赤く染まるのを見たスネークは、ガスマスクを外した。マンティスの頭部全周には、生々しい手術痕が刻まれていた。
メリル !・・・ひどい・・・。
マンティス どいつの腹の中にも、欲という名の夢。種の保存という名の利己的な理想が詰まってた。反吐が出るほど・・・。地球上のあらゆる生命は子孫を引き継ぐために生きる。そう設計されている。その方程式が故に争う。
しかし、気様は違う・・・むしろ俺達と同じだ。過去も未来もない。この瞬間だけを生きる、それだけの存在だ。
人間は人を幸福にするようには創られていない。この世に生まれ落ちた時から、人を不幸にするように運命づけられている。
俺が初めて人の心に潜入(ダイブ)した相手は、実の親父だった。親父の心の中には、俺に対する殺意しかなかった。母親が死んだのは俺の出産が原因だと・・・。俺は親父に殺されると思った・・・。あの時、俺の未来が消えた。過去も失くした。気がついた時、村は炎に包まれていた。
50 スネーク 過去を清算するために村を焼き払ったというのか。
マンティス お前の中にも同じトラウマがあるな。フフフフ・・・お前は俺と同じだ・・・。
俺はそんな貴様に賭けてみたくなった。俺はボスの蹶起(けっき)に賛同したのではない。奴の目的にも、理想とやらにも興味はない。
ただ、殺戮に至る正当な理由が欲しかった。
メリル なんて奴。
スネーク 言わせておけ。こいつはもうすぐ死ぬ。
マンティス 俺は本当の悪魔を見た。スネーク・・・お前を見ると落ち着く。貴様はボスと同じ、いや、それ以上だよ。俺はまだ まともだ・・・。
その女の心を読んだ。
スネーク メリルの?
マンティス 女の心にお前がいた。お前が心の中で大きな存在として・・・ウッ!
スネーク 大きな存在?
マンティス 大きくなりつつある・・・これが お前達の未来かどうかはわからん。
・・・頼みがある。
スネーク なんだ?
マンティス マスクを被せてくれ。
60 スネーク わかった・・・。
マンティス このままでは・・・人の思念が入ってくる。最後くらいは自分でいたい。俺だけの世界にこもりたい。
ナレーション スネークはマンティスの顔にマスクを被せた。
マンティス そこの扉を開けてやろう。未来が知りたければ扉をくぐればいい。
ナレーション マンティスのはサイコキネシスで本棚を動かし、隠し扉を開いた。
マンティス 力を誰かの為に使ったのは・・・これが初めてだ。妙だ、懐かしい・・・感覚が・・・する・・・。
ナレーション マンティスの全身が糸の切れたマネキン人形のように力なく床に伏した。
スネーク ・・・行こうか メリル。
メリル ごめん・・・。
スネーク メリル?
70 メリル 私・・・捕まった時にマンティスに暗示をかけられていたみたい。
スネーク 後悔するのなら、ここに置いていくぞ。
メリル ・・・そうね。
スネーク 後悔するよりも反省する事だ。後悔は人をネガティブにする。
メリル わかった。ごめんなさい。もう迷惑はかけないわ。
ナレーション 隠し扉へ向かって歩き出したスネークに向かってメリルは声を掛けた。スネークは背中越しに声を返した。
メリル スネーク。ちょっといい?
スネーク まだ泣き言か?
メリル さっきの話しだけど・・・マンティスの言った事・・・。
スネーク さっきの・・・なんだ?
80 メリル いえ・・・。
教えて?スネーク。あなたの名前はなんて言うの?本当の名前。
スネーク 戦場では名前なんて意味がない。
メリル 歳は?
スネーク 君よりは死人を多く見てきている。
メリル 家族は?
スネーク 育ての親ならいくらでもいる。
メリル ・・・好きな人は?
スネーク 他人の人生に興味を持った事は無い。
メリル そう・・・。
マンティスが言ってたように、あなたには何も無いのね。
スネーク 他人の人生に介入すれば・・・自分を守れなくなる。
90 メリル 悲しい人。
スネーク さあ、行くぞ・・・。
ナレーション 隠し扉の先は薄暗い洞窟だった。洞窟には遠吠えが響いている。
メリル 狼がいるのかしら?
スネーク 狼犬、ウルフドッグだ。
メリル 詳しいのね?
スネーク これでも犬ぞり使い、マッシャーだ。
ナレーション ウルフドッグに苦戦しながらも、なんとか洞窟を抜け、見晴らしのよい外へと出たスネークたちの先に通信棟が見えた。
メリル ここは地雷原よ。私が前衛(ポイントマン)になるから離れてついてきて。
スネーク だがレーダーが効かない。地雷探知機も使えんとなると・・・。
100 メリル 私にまかせて。
ナレーション そういうとメリルは地雷原を悠々と、まるで散歩するかのように足跡を残しながら歩いていく。スネークも後に続く。
メリル どう、私もたいしたもんでしょ?
スネーク なぜ地雷の位置が?
メリル マンティスに侵入はされたけど、その時、ここの地雷のイメージが見えたの。見直した?
スネーク あぁ、少しは・・・。
メリル ちぇっ、少しなの?
ナレーション その時、メリルの胸に赤い光線が当たった。
スネーク メリル?
メリル どうしたの?・・・ん!
110 ナレーション 赤の光線はメリルの胸から左足へ動いた。
スネーク メリル伏せろ!
メリル ああっ!!
スネーク メリル!!
ナレーション 赤の光線はライフルのポインターであった。銃弾がメリルの左足を撃ち抜き、メリルはその場に膝を着いた。次なる銃弾がメリルの右足を撃ち抜き、メリルは倒れ込みながら、地面に落ちた銃に手を伸ばす。だが、伸ばした手もまた銃弾が撃ち抜いた。メリルの悲鳴が響いた。身を隠した家屋から飛び出そうとするスネークを威嚇射撃が阻む。
スネーク クソッ!
メリル スネーク・・・私を置いて逃げて・・・。
スネーク メリル・・・。
メリル 私、本当・・・新米ね。二度も・・・。
スネーク 大丈夫だメリル、狙いは俺だ。
120 メリル いくら私でもわかるわ。こんな古典的な罠・・・。スナイパーよ、私は囮。あなたが出てくるのを待ってるんだわ。
スネーク クソッ!
メリル 私を撃って!!
スネーク だめだ。
メリル 銃が・・・。自分ではカタを着けられないわ。
スネーク 早まるな。
メリル 足手まといにならないって誓ったもの!
私、こんなだけど・・・。あなたを助けたい!役に立ちたい!
スネーク 黙ってろ、体力を消耗するぞ。
メリル 私が甘かった。軍人なんかに憧れて・・・。
戦場には何も無い。戦争では何も生まれない。
私の代わりに生き抜いてスネーク。
そして・・・人を好きになって。
私の言葉を忘れないで。
・・・さあ、行って!!
ナレーション スネークの通信機が鳴った。
130 キャンベル ・・・メリル・・・。
ナオミ キャンベルさん?
キャンベル くそっ!スネーク、それは罠だ。スナイパーが敵を誘い出す為に使う手だ。致命傷を避けて、君がメリルを助けに出てくるのを待ってるんだ・・・!
ナオミ おそらく、相手はスナイパー・ウルフよ。フォックスハウンド最高の狙撃手。
スネーク 通常、狙撃兵は二人組みだが・・・。それじゃ、相手は一人か。
ナオミ 持久戦よ。彼女は何時間でも、何日でも何週間でも、じっと待ち続けるわ。あなたを観察し、動くのを待ってる。
スネーク メリルの体力がもつかどうか・・・。
ナオミ スネーク、そこからウルフが見える?
スネーク 通信棟まで身を隠す所はなさそうだ・・・。おそらく通信棟の二階だろう。
キャンベル 通信棟からだとすると、ウルフからは君達が丸見えだ。狙撃には絶好の撃ち下ろし攻撃ポジション。その距離では通常の武器で攻撃するには遠すぎる。スナイパー・ライフルが必要だ。
140 スネーク ・・・大佐、無理をするな。メリルは必ず助ける。
キャンベル ああ・・・すまない・・・。
ナオミ ・・・。
スネーク どうした、ナオミ?
ナオミ 知ってる?あなたの遺伝子には殺人傾向を助長する因子が含まれているのよ。
スネーク 俺が他人の命を救うなどありえない、とでも?
ナオミ そこまでは言わないけど・・・。
スネーク あいにく、俺は自分の遺伝子配列に何が書かれているかなど知らない。俺は本能に従っているだけだ。
ナオミ 野蛮な人?
スネーク 俺はメリルを助ける。理由なんかいらない。
150 ナオミ そう・・・。
スネーク 他人のためにも闘わない。
自分のためにメリルを助ける。
大佐、心配するな。
キャンベル スネーク、ありがとう。
ナオミ わかったわ・・・。ごめんなさい・・・。
ナレーション スネークはスナイパー・ライフルを通信棟に向け構えた。心臓の鼓動すら煩わしく感じられるほどの研ぎ澄まされた集中力での銃撃戦が続く。果てしなく続くかと思われた闘いはスネークの放った銃弾で終わりを告げた。通信棟からの銃撃が途絶え、スコープから離したスネークの目に移ったものは、先ほどまでメリルが居たはずの地面に残る血痕だけであった。
スネークの心は動揺していた。スネークは通信棟の前までくると、扉に手を掛けた。その瞬間、女の声と共にゲノム兵達の銃口が一斉にスネークに向けられた。不意を突かれたスネークは銃を下ろし、降参するしかなかった。妖艶な風貌の女がスネークの前に歩み出た。