METAL GEAR SOLID 05



補足】青色文字は通信中の台詞です
     【】内は情景等の補足説明です
     黄色文字は洗脳中の台詞です

01 スネーク グレイ・フォックス・・・。奴はグレイ・フォックスだ、大佐。間違いない。
キャンベル そんな馬鹿な?奴はザンジバーランドで君に・・・。
ナオミ そう、殺されたはず。でも、生きていたのよ。
キャンベル 何だと?
ナオミ 私がフォックスハウンドのメディカルスタッフになる前のことよ。ゲノム兵の遺伝子治療の実験体にされた兵士がいたらしいわ。
キャンベル 初耳だぞ?
ナオミ キャンベルさんが除隊した後の話しだから・・・。私の前任者、クラーク博士が担当していたの。
キャンベル クラーク博士?
10 ナオミ 遺伝子治療を導入した張本人よ。
スネーク そのクラーク博士は?
ナオミ 二年前研究所の爆発事故で亡くなったそうよ。
スネーク 人体実験、と言ったな?
ナオミ ええ。その実験体にはザンジバーランド陥落の時に回収された元隊員が選ばれたそうよ。
スネーク それがグレイ・フォックスか。
キャンベル だがあの時、奴は死んだはずでは?
ナオミ 無理やり蘇生させられたのよ。強化骨格と麻薬づけにされて。それから4年間、彼は死ぬことすら許されないまま、玩具(オモチャ)のように弄ばれつづけた。
今のゲノム兵は、その実験結果から生まれたのよ。
キャンベル 酷い話だな・・・。
ナオミ おそらく様々な遺伝子治療の初期実験がされたはず。
20 スネーク ・・・ナオミ、なぜ今まで黙っていた。
ナオミ ・・・。
・・・機密事項・・・だったから。
スネーク それだけか?
キャンベル 【間】
ナオミ、その後グレイ・フォックスはどうなったんだ?
ナオミ 事故死、と記録にはあったわ。
キャンベル そうか・・・。だがその忍者がグレイ・フォックスだったとしても、なぜ?
スネーク あの様子では、正常な意識は無くしているようだった。
キャンベル 戦闘意識のみで生きているというのか・・・?
スネーク あるいは、俺との決着をつけるつもりか・・・。いずれにせよ、奴はまた現れるはずだ。
ナオミ そうしたら、また闘うの?彼を殺すまで?
30 スネーク ・・・そうだな・・・。奴はそれを望んでいるのかもしれん・・・。
ナレーション 通信を終えたスネークは、棚の中に隠れている男に声をかけた。
スネーク いつまで隠れてる?
オタコン 君も・・・仲間?
スネーク 仲間?俺に仲間はいない、俺はいつも一人だ。
オタコン 一人?・・・君もオタクかい?
スネーク さあ、早く出てくるんだ。いつまでもここには居られない。
ナレーション 男は恐る恐る扉を開けると、眼がね越しにスネークの全身をまじまじと見つめた。
オタコン 奴等の制服とは違うね。
スネーク メタルギア・レックスの開発チーフ、ハル・エメリッヒ博士だな?
40 オタコン 僕を知ってるようだね。
スネーク メリルに聞いた。
オタコン ああ 助けに来てくれたの?
スネーク 残念だが そうじゃない。先にしなければならない事がある。
オタコン まあいいか 敵じゃなさそうだし。
スネーク 聞きたいことがある。メタルギアについて知りたい。
オタコン え?メタルギアかい?
スネーク そうだ。メタルギアが開発された真の目的はなんだ?
オタコン 移動可能な戦域ミサイル防衛だよ。核ミサイルを撃墜する あくまでもディフェンス用の兵器。
オタコン スネークは博士の胸ぐらを掴んで声をあげた。
50 スネーク 嘘だ!今回のメタルギアが単なる核搭載歩行戦車ではないことはわかってる!
オタコン 核・・・?一体何のこと?
スネーク テロリスト達はメタルギアで核攻撃を仕掛けようとしているんだぞ。知らないはずがあるか!
オタコン 彼等は戦域ミサイル防衛のミサイル・モジュールを利用して、廃棄核弾頭を撃ち出そうとしてるんじゃ?
スネーク 違う。この基地で行われていた演習は初めからメタルギアによる模擬核弾頭発射が目的だった。奴等はそれをそのまま占拠し利用しているんだ。
オタコン そんな馬鹿な。
スネーク お前のボス、ベイカー社長から直接聞いた。
オタコン 嘘だ・・・レックスに核が・・・。
スネーク まさか本当に知らなかったのか?
オタコン 武装は全て別の部署で作られていたんだ。本体への組み込みは社長が直接指揮をとっていた。
60 スネーク あの社長が?
オタコン ああ。武装の内容についても詳しくは知らされていなかった。バルカン砲、レーザー、レールガン・ユニットがあるということしか・・・。
スネーク レールガンだって?
オタコン 磁場を使って超高速の弾丸を撃ち出す兵器さ。SDI構想で一度 ポシャった企画だけど、リバモア国立研究所とアームズ・テック社が共同開発して小型化に成功したんだ。レックスの右肩に装備されている。
スネーク メタルギアは核発射専用の兵器だ。何か思い当たるフシはないか?
オタコン 確かにレックスの背中には、8発のミサイルを装填できる ミサイル・モジュールがある。でも・・・それが始めから核ミサイルを発射するためのものだったってこと?
スネーク ああ・・・だがそれだけとは思えない。メタルギアで通常核を発射する実験なら、これまでに収集データがあるはずだ。
オタコン まさか・・・いや・・・ひょっとして?レックスの共同開発元 リバモア研究所では・・・新しい核平気を創るプロジェクトも行われていたんだ。ノバやニフと言ったレーザー核融合実験装置とスパコンを使ってね。
スネーク その仮想実験室でもしも新型核兵器が開発されていたら・・・。
オタコン 仮想データだけでは実戦配備はできない。実際の発射データが必要・・・。壁際に装置があるだろう?それがスパコンの一部だよ。これらを繋ぐと仮想空間での実験ができる・・・。あくまでも理論上の事だけどね。
70 スネーク その理論をより具体化するための演習だったのか?
オタコン うちの社長、なんて事を・・・それを奴等が発射しようとしている!クソッ!クソッ!!!・・・僕が馬鹿だったよ・・・。自分のまいたタネだ。
実は、僕の祖父さんはマンハッタン計画に参加していたんだ。祖父さんは死ぬまでその事を悔やんでいた。それに、僕の父が生まれたのは1945年8月6日・・・。
スネーク ヒロシマに原爆が投下された日か・・・。皮肉な事だな。
オタコン 親子三代、僕の家計のDNAには、核兵器に苦しめられる運命が書き込まれているのか?
「科学は人の生活を助ける」と信じて研究してきた。それが・・・結局 僕等は利用されただけだ。科学の平和利用なんてアニメでしか・・・。
スネーク 泣き言はいい。現実を見るんだ。メタルギアはどこだ、この基地のどこにある?
オタコン ・・・レックスは今、地下整備基地にある。
スネーク それはどこだ?
オタコン 通信棟の遥か北さ。だけど道のりは遠いよ。
スネーク 同じ所に起爆コードを解除するシステムが?
オタコン おそらくは・・・地下整備基地の司令室だ。急いだほういいよ、最初から発射実験が仕組まれていたとすると、弾道プログラムも済んでいるはずだ。この数時間、僕が呼ばれていない所をみると、もう僕は用なし、つまりは準備完了って事だ。
80 スネーク メリルが起爆コード解除の鍵を持っている、彼女と合流しよう。
オタコン 解除がダメなら 破壊するしかないね、僕が案内するよ。
スネーク 邪魔なだけだ。
オタコン レックスを破壊するには僕が必要だよ。
スネーク 必要なのは お前じゃない、お前の知識だけだ。
オタコン レックスは僕が創った。僕には破壊する義務がある、権利がある。
スネーク 頃合を見計らって、ここから脱出してくれ。安全を確保してから無線で連絡をする。
オタコン この孤島からどうやって逃げろっていうんだい?
スネーク 【ため息】
わかった。
オタコン それじゃあ?
90 スネーク どこかに隠れて 情報だけでいい。この施設には詳しいだろ?
オタコン そうこなくっちゃ。心配しなくてもいいよ、この新兵器がある。
ナレーション 博士が襟元に手で触れた瞬間、博士の姿が消えた。
オタコン さっきの忍者と同じステルス技術だ。フォックスハウンドに支給される予定だったんだけどね。これさえあれば大丈夫さ。
スネーク わかった。メリルに護衛させよう。今メリルと通信する。
【間】
メリル、開発者を保護したぞ。
メリル よかった。
スネーク 君に奴の面倒を頼みたい。今、どこだ?
メリル すぐ近くよ。
!しまった!見つかったわ!!
スネーク メリル!どうした!!通信が切れた・・・。
【博士に向かって】
何かあったらしい。彼女の容姿は?
オタコン 彼女、テロリスト達と同じ緑の戦闘服を着てたよ。なかなか魅力的な歩き方をしてたな。お尻なんか振っちゃってさ・・・。
スネーク よくみてるな。
オタコン 彼女のお尻、魅力的だったから・・・。
100 スネーク 歩き方か・・・。
オタコン それと、敵兵に化けてるんなら、一人の時に接触しないとダメだな。女が一人になる所っていえば・・・ひとつしかないけどね。
スネーク どこだ?
オタコン 野暮なこと聞くなよ・・・。
スネーク 【間】
・・・苦しくはないか?
オタコン えっ?
スネーク 気分はどうだ?どこか具合が悪いとか?
オタコン 気持ち悪いな・・・急にやさしくなっちゃって。
スネーク いや、何もなければいい。
オタコン 君、変だよ。
110 スネーク 俺の思い過ごしだ。俺が助けた奴はみんな死んだ。
オタコン 演技悪いな。
スネーク 博士、忘れてくれ・・・。
オタコン オタコンって呼んでくれ。
スネーク オタコン?
オタコン オタク・コンベンションの略。僕、ジャパにメーションが好きなんだ。世界で最初に二足歩行を管制させたのは日本人なんだ。あそこではロボットの開発が進んでいる。
スネーク それもジャパにメーションの影響が大きいと?
オタコン そうだよ。僕の人生はなにも核兵器を造る為にあるんじゃない。
スネーク 科学者はみんなそう言う。
オタコン 僕が科学者になったのも、アニメのようなロボットを創るりたかったからなんだ。純粋にね。
120 スネーク 言い訳にしか聞こえないぞ。
オタコン 確かに 僕達にも責任はある。戦争があるから科学が発展する。科学者の欲があるから殺戮兵器が生まれる。でも、今日で終わりだ。もう殺戮兵器に手は貸さない。
スネーク すまないが、俺には知識だけを貸してもらう。
オタコン 僕はこの研究所、いや、基地に詳しい。ここの事やレックスの事なら遠慮なく聞いてくれ・・・。それじゃ・・・。
ナレーション オタコンはステルス迷彩を作動させ姿を消し、研究所を後にした。
スネークは地下1階で見覚えのあるヒップラインの兵士を発見し、兵士の入って行った女子トイレへと潜入した。個室を覗くと、そこには脱ぎ捨てられた戦闘服があった。
メリル 動かないで。
ナレーション 女の声と共に銃を構える音が聞こえた。
メリル 2度も後ろを取られるなんて、伝説の男が聞いてあきれるわ。
ナレーション 女は言い終わると構えていたファマス・ライフルを降ろした。振り向いたスネークの瞳に、赤毛に黒のタンクトップを着た女性が立っていた。オタコンの言う通り、魅力的な女性である。
スネーク 君がメリル・・・?男になりきるには無理があるな。
130 メリル どういう意味?ここは男子禁制よ。
スネーク 君がこんなに女らしいとは思わなかった。
メリル こんな所で言う口説き文句ではないわね。まあ私を口説いても無駄よ。入隊時に異性に興味を抱かないサイコセラピーを受けてるから。
スネーク その口のきき方、メリルに間違いないようだ。怪我はないか?
メリル 今の所はね。ゲノム兵の振りをしてたから・・・。
スネーク 着替えたのか?その格好よりは奴等の兵装のほうがましだぞ。
メリル もう自分を偽るのはやめたの・・・。本当は、服に血の臭いがして・・・。
ナレーション スネークはメリルの腕にあるフォックスハウンドのマークを見て言った。
スネーク そのマークは?
メリル これ?ペイント・タトゥーよ、本物じゃない。私、この頃のフォックスハウンドが好きなの。叔父やあなたがいた頃の・・・。今のように遺伝子治療もなかった。伝説の英雄達がいた。
140 スネーク 戦場に英雄はいない。俺の知ってる英雄はみんな死んだか刑務所に入っているかのどちらかだ。
メリル でもスネークあなたは英雄よ。違うの?
スネーク 戦場でしか自分の意味を見出せない男だ。傭兵には勝敗など意味がない。戦争で勝利を収めるのはいつも民衆だ。
メリル そうなの?あなたは人の為に闘ってるわ。
スネーク 誰かの為に闘った事は一度もない。俺には生きる目標はない、生き甲斐もない・・・。
メリル そんな?
スネーク 戦場で死をかいくぐっている時だけだ。生きてる事を実感するのは。
メリル 人の死を見て生を感じるなんて?戦争を愛して止まない歴戦の兵士って、そういうものなの?
スネーク 【間】
なぜ連絡しなかった?
メリル 無線機が壊れたの。
150 スネーク それだけか?
メリル こうして逢えたからよかったじゃない?でも、よく私がわかったわね?
スネーク 一度 逢った女は忘れない。
メリル やっぱり 私に気があるのね?
スネーク 君のお尻に惹かれたんだ。
メリル お尻?へえ、最初は眼で今度はお尻?次はどこかしら?
スネーク 戦場では次を考えないほうがいい。
メリル で、スネーク、交渉はどうなってるの?
スネーク 進展はない。
メリル つまり、あなたにかかってるわけね?
160 スネーク とにかく、奴等が核を撃つのを食い止めるしかない。
メリル 方法は二つ、メタルギアを破壊するか・・・。
スネーク 起爆コードを解除するか。ベイカー社長から鍵を預かってるな。
ナレーション メリルは胸の谷間からカード型の鍵を出してスネークに渡した。
メリル これね?
スネーク 鍵は三つあるはずだ。
メリル これしか預かってないわ。
スネーク 残る二つはどこに?
メリル わからないけど、きっと どこかにあるはずよ。でも鍵が無いとなると、本体を破壊するしかないわね。
スネーク メタルギアはこの北の地下整備基地にあるそうだ・・・。
170 メリル 私も連れてって?ここなら私の方が詳しい。
スネーク 足手まといだ、君は実戦経験が少ない。
メリル 足手まといにはならないわ、誓うわ。
スネーク もしそうなったら?
メリル かまわず私を撃って。
スネーク 弾の無駄使いはしない。
メリル ・・・わかった。ケリは自分でつけるわ。
ナレーション メリルは鏡の前に立つと、鏡ごしに話し始めた。
メリル 私、普通の女の子みたいに化粧なんてしない・・・。だから、鏡に向かうなんて習慣もない。そういう女になるの、嫌いだった。ずっと軍人になるのが夢だったの。でも違った・・・。それは自分の夢じゃなかった。
私の父、小さい頃に戦争で死んだの。
スネーク 親の遺志を継いで?
180 メリル いいえ。軍人になれば死んだ父の事が理解できると思ったの。
スネーク それで 軍人に?
メリル 今日までそう思っていた。でも、今わかった。本当は自分を見るのが怖かっただけ。自分で行き方を決めるのが怖かったのよ・・・。もう自分を偽りたくない。自分を見つめる勇気を持ちたい。私が何者であるか、何ができるか。私が生きてきた人生は何だったのか。確かめたい。
スネーク よく見とけよ、しばらく鏡は見られなくなるぞ。顔も洗えなくなる。
メリル ええ・・・。
スネーク これは訓練ではない、生死をかけた闘いだ。ヒーローもヒロインもいない、負ければただの犬死にだ。
メリル ええ・・・。
スネーク そのファマスは使えるのか?
メリル 生憎弾切れよ。
スネーク その腰のデザート・イーグルは?
190 メリル 偶然 武器庫で見つけちゃった。口径は50アクション・エキスプレス。ソーコムピストルが置いてあったけどこっちにしたの。
スネーク ああ、俺のは残り物か・・・。その銃、女にはデカすぎる。
メリル そういう時だけ女扱いする?
スネーク 俺の45口径を使え。
メリル 大丈夫、この銃なら8歳の時から使ってる。ブラジャーよりも付き合いが長いわ。
北に行くにはこのフロアの所長室を抜けなければいけない。地上のルートは氷河で塞がれているの。
さあ、行きましょう。ここでは私が先輩よ。私が前衛(ポイントマン)になるわ、ついてきて。