METAL GEAR SOLID 04



補足】青色文字は通信中の台詞です
     【】内は情景等の補足説明です
     黄色文字は洗脳中の台詞です

01 ナレーション スネークはベイカーから聞いた番号からメリルに通信する。通信機のモニターに黒頭巾で頭部を覆ったメリルが映し出された。
メリル あ、あなたは。
スネーク 逃げおおせた所を見ると素質はあるらしい。
メリル 独房の・・・?
スネーク 君が大佐の姪、メリルか?
メリル ・・・やっぱり、違う?誰なのあなたは?
スネーク 君の伯父にはめられて、こんな僻地まで来た哀れな男だ。
メリル 一人で?何それ、英雄にでもなろうと思ったの?
スネーク そのへんで説教はやめてくれないか?大佐ゆずりだな。
10 メリル 伯父とはどういう知り合い?
スネーク 腐れ縁だ。
メリル 名前は?
スネーク これまで名前が必要になった事はない。
メリル あっ!もしかして、スネーク?ソリッド・スネークなの?
スネーク そう呼ばれた事もある。
メリル 伝説の男?・・・あなたが?
ナレーション メリルは伝説の男に敬意を払い、黒頭巾を脱ぎ、改まった口調で話しはじめた。
メリル さっきはどうも。味方だとは知らなかった。
スネーク こっちは分かったさ。
20 メリル どうして?
スネーク 君の目だ。
メリル 目?
スネーク 戦士の目じゃない。
メリル 新兵の目でしょ?
スネーク いや、人を慈しむ眼だった。
メリル さすがは伝説の男ね、いきなり口説くつもり?
スネーク 逢えば伝説じゃなくなる。現実に直面すれば、幻滅するものだ。
メリル そうでもないわ。
スネーク 俺の顔を見て驚いていたようだが?
30 メリル ええ、そっくりだったから。
スネーク ・・・テロリストのリーダー、リキッド・スネーク、か?
メリル ええ。知ってたの?まさか兄弟、とか?
スネーク 俺に家族はいない。
メリル じゃ、どういうこと?
スネーク まあな。奴に直接聞くさ。それよりも、情報を教えて欲しい。君は最初から今回の演習に参加していたはずだ。ここで何があった?
メリル 私も演習には当日合流したばかりだから・・・。
スネーク かまわない。まず、この基地は何だ?ただの核兵器廃棄所とは思えん。
メリル なるほど・・・連中のやりそうなこと。本当に何も知らされてないのね。いい、スネーク。ここは表向きは核廃棄所だけど、本当は違う。アームズ・テック社のダミー会社が所有する基地なのよ。
スネーク ここが民間の基地?
40 メリル そう。メタルギア開発のためのね。
スネーク くっ、大佐め・・・。
メリル そしてその模擬核弾頭発射演習のために、次世代特殊部隊とフォックスハウンドが招集された。
スネーク なぜフォックスハウンドが?
メリル メタルギアの開発を極秘裏に進めたかったからよ。フォックスハウンドはいまだに影の部隊。だから隠密行動にはもってこいなのよ。
スネーク しかし模擬核弾頭発射実験なら、これまでも行われていたはずだ。なぜ今回に限って?
メリル メタルギアの正式採用を決定するための最終的実戦演習、そう聞いているけど?
スネーク 怪しいものだ・・・。それで、テロリストの目的は?
メリル ごめんなさい。蜂起の後、すぐにベイカー社長と一緒に捕まってしまったから・・・。
スネーク そうか・・・。その時、牢獄でベイカーから起爆コード解除の鍵を預かっているだろう?
50 メリル ええ、大事にしてるわ。
スネーク 奴等によく奪われなかったもんだ。
メリル 女は男と違って引き出しを幾つも持ってるの。・・・ベイカー社長と会ったのね?保護したの?
スネーク いや・・・彼は死んだ。
メリル えっ?
スネーク 心臓発作だった。ダーパ局長と同じく・・・。
メリル 局長も心臓発作で・・・?
スネーク ああ。彼等には何か持病が?
メリル いえ、聞いたことないわ。
スネーク 二人続けてとなれば偶然とは思えん。きっと何かある。
60 メリル そうね・・・。でも心当たりはないわ。
スネーク そうか・・・。メタルギアの開発者を知っているか?
メリル エメリッヒ博士のこと?
スネーク そうだ。彼は無事なのか?
メリル たぶん、北にある核弾頭保存棟の地下二階よ。そこの研究室フロア。
スネーク 地下二階だな?
メリル ええ。彼の研究室があるらしいの。そこで核発射のプログラムを強いられてると思うわ。
スネーク それが終わるまでは生かしておくつもりだな。
メリル 準備作業が終わるまでになんとかしないと?
スネーク ああ。起爆コードの解除が間に合わなかった時のために、メタルギアの破壊方法を聞いておかなければならない。
メリル 破壊・・・って、スネーク。あなた、アレとやりあうつもり?
70 スネーク 別に今回が初めてじゃない。
【間】
博士の監禁されている核弾頭保存棟に行くには?
メリル この建物の一階、エレベーターの横に、北への運搬口がある。
スネーク わかった。俺はこれから博士の保護に向かう。君は・・・。
メリル 私も一緒に行くわ。
スネーク 駄目だ。新米はどこかで隠れてろ。
メリル 新米じゃないわ。
スネーク 【強めの口調で】
口だけでは駄目だ。
敵に向かって一瞬でもためらったら終わりだぞ。二度も幸運は続かない。
メリル 【間】
【少し哀しそうに】

私、引き金がすぐに引けなかった。訓練ではちゃんとやれたのに・・・。指を引くだけで、相手の命が終わってしまうと思うと、怖かった・・・。
スネーク 訓練で的を撃つのとは訳がちがう。
メリル 私、軍人になる事をずっと、夢見てきた・・・。実戦に向けて、毎日毎日、訓練をしてきた・・・。でも・・・。
スネーク どうだ?もうやめたいか?
80 メリル やめられない。やめるわけにはいかない。
スネーク 人を殺してショックを受けないのは異常者だけだ。罪悪感のない殺人は新たな殺戮を産む。戦場では、普段は封印されている残虐性や闘争本能が顔を出す・・・。戦場では、戦争という名のもとに罪の意識は緩和される。
メリル でも、これは戦争じゃない。テロよ。
スネーク 精神が安定していないのは、コンバット・ハイが原因だ。大量に分泌されたアドレナリンが薄れ始めているんだ。結論を急ぐな。
メリル コンバット・ハイなら講習を受けたわ。
スネーク 今は議論をやめよう。生き残る事だけを考えろ。
メリル ここから生きて帰れたらゆっくり考えてみる。
スネーク わかった。言い方を変える。俺の邪魔はするな。
メリル 【少し笑って】
くえない男。伯父から聞いた通り。
スネーク 【おどけながら】
ほらっ、言った通りだ。現実に直面すれば幻滅するものだ。
90 メリル そうみたい。
【笑い】
わかった、スネーク。おとなしくしてるわ。
スネーク 博士を保護したら合流しよう。それまで鍵を持っていてくれ。
メリル ええ、大事にしてる。・・・それと、ここ基地に関しては私の方が詳しいわ。何かわからない事があったら連絡して・・・。
スネーク 気をつけるんだぞ。
メリル スネーク、運搬口のロックを解除しておいたわよ。
スネーク ありがとう。君はどこに?
メリル あなたの見えると・こ・ろ・よ。
スネーク あまり派手に動くなよ。
メリル 大丈夫。こっちは敵兵士の服装でカムフラージュしてるから。
スネーク 君の歩き方を見ればすぐにバレるぞ?
100 メリル どういう意味?
スネーク いや、いいんだ。
メリル 聞いて、スネーク。運搬口はエアロックになっているの。赤外線センサーが配置してあるわ。気をつけて・・・。見つかるとガスが噴出する仕掛けになってる。
スネーク ガスか・・・。
メリル それじゃ、核弾頭保存棟で逢いましょう!
スネーク おい、メリル、待て!おとなしくしている約束だぞ!
メリル 気が変わったの。
スネーク 自棄(ヤケ)になるな。そういう時が一番危険だ。
メリル 私、自分が本当にこの道を進むべきなのか・・・。闘いの中で答えを探してみる。
スネーク 奴等は殺しのプロだ。死ぬぞっ!
110 メリル ・・・じゃあ!!
ナレーション 運搬口に潜入したスネークは懐のタバコに火をつけ、深く吸い込むと煙勢いよく吐き出した。煙の中滲むように赤外線のセンサーが見えた。スネークは煙を頼りに慎重に進み、赤外線の罠を抜け、極寒の雪深い外へと出た。風雪の先に見える核弾頭保存棟に向け、雪上を歩き出そうとした時、見知らぬ番号からの通信を傍受した。モニターは切られており、音声だけが聞こえた。
サイボーグ忍者 スネーク、気をつけろ。そこにはクレイモア地雷がセットされている。地雷探知機を使え。
スネーク あんた、誰だ?
サイボーグ忍者 ディープ・スロートとでも名乗っておこう。
スネーク ディープ・スロート?ウォーターゲートの内部告発者か?
サイボーグ忍者 そんな事はどうでもいい。
スネーク バースト通信ではないな。近くにいるのか?
サイボーグ忍者 いいか、お前の前方にM1戦車が待ち伏せしている。
スネーク お前は誰だ?
120 サイボーグ忍者 ファンの一人だよ。
ナレーション 通信は一方的に切れた。スネークは先ほど手に入れた地雷探知機を作動させた。謎の男の情報通り、スネークがこれから進もうとしていた地点で地雷探知機が反応している。スネークは慎重に雪上を進む。そして又もや情報通り、風雪の中をM1戦車がキャタピラ音を鳴らしながらスネークに近付いて来た。戦車の上部にある蓋が開き、スキンヘッドに彫られた大鳥をはじめ全身に刺青を施した巨漢が上半身を覗かせた。
レイブン ここは大鳥(レイブン)の縄張りだ・・・アラスカに蛇は似合わん・・・迷い込んだとしても見逃す訳にはいかん・・・まずは挨拶からだ。
ナレーション スネーク目掛け戦車砲が放たれる。スネークは横に飛びのきながらかわす。だが爆風はスネークの体を宙に舞わせた。スネークはなんとかバランスをとり、雪上に膝から飛び降りた。
レイブン ハッハハハハ・・・いいぞ その調子だ。跪くがいい。蛇よ、大地を這いまわるがいい。
ナレーション 巨漢は戦車に潜り込み蓋を閉めた。
レイブン さぁ 本番だ!
ナレーション 戦車がキャタピラ音をあげながらスネーク目掛け進んでくる。スネークは手に入れたチャフ・グレネードを戦車に向かって投げつけ炸裂させた。電気系統が混乱をきたし、戦車砲の標準が狂った。戦車の扉が開き、先ほどの巨漢とは違うゲノム兵が姿を現し機銃を掃射する。スネークは岩陰に隠れながら破片手榴弾を構えると、小回りのきかない戦車の弱点を利用し、飛び出すと、戦車の横の位置を確保しつつ走りながら破片方手榴弾を戦車上空に向け投げた。破片方手榴弾は機銃を掃射していたゲノム兵を吹き飛ばし、黒煙のあげながら停止した。
核廃棄保存棟へ入っていくスネーク。大破したはずのM1戦車から巨漢が姿を現した。巨漢は通信機を手に取った。
レイブン ボス、これでいいのか?みすみす見逃してやったようなもんだ?
ナレーション リキッドは、スネークをまだ泳がせておくように指示した。
130 レイブン 奴を甘く見ないほうがいい。
オセロット どうだ?あの男は?
レイブン 確かに、ボスの眼に狂いはない。戦場に息吹を吹き込んでくれる。あんたと同じだ。さすがにあんたの・・・。
オセロット 私の気持ちがわかったか?奴は私がしとめる。
レイブン 腕を斬られて逃げ帰ったらしいじゃないか?旧ソ連(イワン)の大将?
オセロット なんとでも言え魔術師(シャーマン)が・・・。
レイブン アメリカ・インディアンのスー族の「スー」はインディアン語で蛇を意味する。蛇は恐れられている生き物だ。
オセロット 私はあいつを愛してしまったようだ。あいつを可愛がってやりたい。
レイブン 俺は奴ともう一度 闘うことになる。
オセロット いつもの予言か?
140 レイブン そうだ。額の大鳥(レイブン)が奴を欲しがっている。
ナレーション 核廃棄保存棟へ潜入したスネークが地下二階へと繋がる通路に差し掛かった頃、再び通信コールが鳴った
サイボーグ忍者 スネーク、気をつけろ。ガスが充満している。おまけに床には高圧電流が流されている。まず高圧電流のスイッチを破壊するんだ。北西の壁にある配電盤のようなものだ。
スネーク そこまで行けない。どうしたら?
サイボーグ忍者 リモコンミサイルを使うんだ。
ナレーション スネークはディープスロートの助言通り、リモコン機能を持つ、ニキータ・ミサイルを発射し、遠隔操作しながら配電盤を爆破し床の高圧電流をストップさせた。ガスマスクを装着し先に進み、地下二階の研究室フロアに続く扉を開いたスネークが見たものは、廊下に累々と転がるゲノム兵達の亡骸だった。皆、床や壁を自らの鮮血で染めていた。
スネーク 刃物で斬られたようだ。
ナレーション 曲がり角に差し掛かった時、瀕死のゲノム兵がよろめきながら歩き、一言「ゴースト・・・」と呟き倒れ、地面に血の池をつくった。
意を決して曲がり角を曲がろうとした時、マシンガンの発砲音と同じくしてゲノム兵の断末魔が聞こえた。
スネークは見た。空中に浮かび全身を痙攣させているゲノム兵の姿を。ゲノム兵は力なく床に叩きつけられ、その傍らに刀を携えたサイボーグ忍者が出現した。
サイボーグ忍者はゆっくりと研究室のドアを開け入っていった。スネークが後を追って部屋に入ると、サイボーグ忍者が眼がねを掛けた男の前に立っている。
怯えた表情で床にへたり込み、失禁で床を濡らしている眼がねの男に忍者が問うた。
サイボーグ忍者 俺の友はどこだ?
ナレーション スネークが二人に近付いていく。忍者がスネークに気付き振り返る。
150 サイボーグ忍者 スネーク!!
スネーク さっきの忍者・・・。
サイボーグ忍者 待っていたぞ スネーク!
スネーク 貴様は一体?
サイボーグ忍者 敵でも味方でもない。そういうくだらない関係を超越した世界から帰ってきた。二人きりで勝負をつけたい。邪魔な奴等は排除した。
スネーク 目的はなんだ?
サイボーグ忍者 ずっと待ち望んでいた。ただお前との一時を楽しみたい。決着をつける為に あの世から戻ってきた。
スネーク 恨みか?
サイボーグ忍者 そんな陳腐な感情ではない。お前との生死をかけた闘い、そこにのみ快楽がある。お前を殺す事、お前に殺される事、どちらも同じだ。
ナレーション 眼がねの男は恐怖のあまり、大声をあげながら資料棚の中に飛び込み扉を閉めた。
160 サイボーグ忍者 フン、いいだろう、特等席で見ているがいい!
スネーク その男は必要だ、手出しはさせん!
サイボーグ忍者 さあ、俺を感じさせてくれ!俺に生きる実感をくれ!
ナレーション スネークは忍者に向かってソーコム・ピストルを発射した。だが!銃弾は忍者の持つ刀で弾かれてしまう。
サイボーグ忍者 スネーク、そんな武器では俺には勝てんぞ!
ナレーション 接近戦を挑むスネーク、忍者の腕を掴み投げつける。だが忍者は軽業師顔負けのアクロバティックな動きで宙を舞い地面に降り立った。続いてスネークは己が拳で忍者に殴りかかる。拳は忍者の肉体に食い込み、忍者の動きが止まった。
サイボーグ忍者 そうだ、それでいい。闘いの基本は格闘だ。武器や装備に頼ってはいけない。
ナレーション 忍者は刀を納めると、スネークに対し自らも格闘戦を挑んできた。スネークは忍者の舞踏を思わせる独特の闘い方に戸惑いながらも確実に打撃を加えていく。
サイボーグ忍者 いいぞスネーク!
早く俺を捕まえてみせろ。
ナレーション 忍者はステルス迷彩を作動させ、空間と同化した状態でスネークに迫る。
忍者の蹴りがスネークの体力を奪う。
170 サイボーグ忍者 俺はここだスネーク。どこを見てる。
ナレーション スネークは瞳を閉じ、五感を研ぎ澄ました
忍者の気配を背後に感じた瞬間、後ろ足で蹴りあげた。
忍者の体は吹き飛び、床に転がった。
サイボーグ忍者 懐かしいな!この痛み、ずっと待っていた!もっと痛みをくれ!もっと、もっとだ!
ナレーション 忍者がまたもスネークを背後から襲う。スネークの拳が忍者の頬に炸裂した。
サイボーグ忍者 そうだ、懐かしい。これだ、このパンチ!
ナレーション 二人の闘いは熾烈を極めた。互いの打撃が繰り出され続ける度に、スネークの苦悶の声と、忍者の歓喜の声が研究室に響いていた。
サイボーグ忍者 思い出さないか?このバトル!この肉のぶつかり合い!もっと痛みをくれ!
ナレーション 永遠に続くかと思われた闘いの終わりは、忍者が床に片膝を付くことで終わりを告げた。
サイボーグ忍者 効いたぞ スネーク。思い出したか?この俺を。
スネーク まさか?ザンジバーランドで死んだはず。
180 ナレーション その時であった。絶叫と共に忍者の全身が脈打つように痙攣した。
スネーク なんだ!?またあの症状?
サイボーグ忍者 クスリがぁ!
ナレーション 忍者は床に崩れ落ち四つん這いになりながら、頭を床に何度も何度も打ちつけた。
スネーク どうなってる?
サイボーグ忍者 俺が、消える!
ナレーション 忍者は再び絶叫し、走り去った。スネークががっくりと床に膝まづき、しばし呼吸を整えると、キャンベルと通信を開始した。